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いきものがたり

我が家の住人たちや趣味などを書いています。

50年も掛かってしまったね【前編】

ボクがはじめて犬を飼ったのは 小学4年生のときだった。

 

飼いたいと言い出したのはボク。

ペットショップのショーケースにはかわいい子犬がたくさんいた。

ボクは順番に子犬たちを見てまわった。

ほとんどの子はおもちゃで遊んでいたり、お昼寝したりしていた。

そんな中、ボクと目が合った瞬間、ものすごく尻尾を振りながら満面の笑みを返してくれた子がいた。

ボクの心は持っていかれた。

 

 

今日からお前は「ドラゴ」だ!ボクの弟だ!

ドラゴとの生活が始まった。

ボクはうれしくて毎日散歩に行き、ドラゴとおもいっきり遊んだ。

 

学校へ行ってもドラゴのことばかり考えて勉強に集中できなかったし、

帰ってきたら真っ先にドラゴのところへ行った。

ドラゴはボクが帰ってくると、ものすごく尻尾を振って喜んでくれた。

毎日がとても新鮮で幸せだった。

 

 

でも、それは半年と続かなかった。

散歩の回数は2日に1回になり、1週間に1回になり、

やがては1ヶ月に1回行くか行かないかになっていた。

 

 

中学生になったボクは、

外から帰ってきてもドラゴには見向きもしなくなった。

それでもドラゴは尻尾を振ってくれていた。

 

ある日母親に、ドラゴが調子悪そうだから病院へ連れて行けと言われた。

ボクはドラゴの体調さえも気づかないでいた。

それどころか面倒くさいと思った。

 

長らく使っていない散歩用のリードをつけた。

ドラゴは苦しそうにしながらも尻尾を振っていた。

ボクは面倒くさい目に遭わせたドラゴにイライラしていた。

チッ!

無意識に舌打ちしていた。

 

 

病院に向かう途中もずっとイライラしていた。

ドラゴはヨロヨロしながらも必死についてきていた。

その歩きの遅さにさらにイライラは募っていった。

そしてとうとうガマンできなくなり、

振り返ってドラゴに「おせぇーんだよっ!」って浴びせようとした。

 

勢いよく振り返ったその時、ボクはバランスをくずして車道の方へよろけてしまった。

トラックがもの凄いスピードで迫ってくる。

キーッキキーッ!!!!!!!!

急ブレーキの音が鳴り響く。

 

もうダメだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクはうつぶせで倒れていた。歩道で。

 

いつの間にか周りに人が集まっていた。

そしてその多くの視線は車道に向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴッ!!?

車道でドラゴが倒れていた。

ボクはすぐさま駆け寄るとドラゴはちょっとだけ尻尾を振った。

 

ボクを、、、助けた!?

 

ボクはドラゴをとっさに抱きかかえていた。

病院まではあと300mほど。

走った。とにかく走った。

 

なんでだよ!

あんなに冷たくしたのに、なんでだよ!

目を覚まして!目を覚ましてよ!ドラゴッ!!

 

ボクは大粒の涙を流しながら一目散に走った。

 

 

病院に着いた。

ボクは間を置かずに必死にお願いした。

「先生!助けてよ!ドラゴを助けてよっ!!」

 

すぐに緊急の手術が始まると思った。

けど、先生は動かなかった。

いや、動いていた。首を、、、横に振っていた。

そして、先生の唇が動き、何かを喋っていた。

 

でも、ボクには何も聞こえなかった。

そのまま目の前が真っ暗になった。

 

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